ラボ型オフショア開発とは 専属の開発チームを海外に作れる

近年、ITをはじめとした多くの企業が海外に進出しています。

海外進出に関する話題の中で、オフショアという言葉を聞いたことがある方も多いでしょう。
海外に拠点を設けてソフトウェア開発などをアウトソース化する運用方法を、オフショア開発といいます。

オフショア開発にはいくつか運用形式がありますが、そのなかでも低コストで煩雑な手続きが不要なラボ型オフショア開発が、最近注目を集めています。

ラボ型オフショア開発とは

ラボ型とは、オフショア開発の形態の一つです。
ある一定期間、社外のエンジニアを確保して専属チームを編成し、まるで自社スタッフのようにプロジェクトを担当させるのが特徴です。 

従来のオフショア開発の、メリットとデメリット

ラボ型の特徴を説明する前に、まずは従来のオフショアのメリットとデメリットを見ていきましょう。
従来のオフショア開発は、次の2種類に大別されます。

・自社で現地法人を設立する
・現地の企業に委託する

現地法人を設立する場合

・メリット 自社で案件対応できる

自社で法人を設立するため、採用からチーム運用まで、すべて自社リソースで対応できることが大きな強みです。プロジェクト

・デメリット 設立に時間がかかる

設立までに時間がかかることがデメリットです。現地法人を設立するには各種申請、人材確保、事務所選定等さまざまの準備が必要です。また、書類準備を含め申請してから認可がおりるまで約3か月はかかります。

業務委託する場合

・メリット 人材確保が容易

他社に仕事を投げるため、チーム編成も委託先に委ねられます。そのため求人や面接など、雇用に対するコストがかかりません。

・デメリット チームメンバーが安定しない

現地のIT企業と委託契約を交わして開発を行うため、チームメンバーが安定しないことがあります。
たとえば、ひとつの開発案件が終了するとチームがいったん解散され、開発メンバーは別の案件にアサインされます。そのため修正や追加案件が発生した場合、開発段階のスタッフに対応してもらえず、新しいスタッフに基本から再教育するといった手間が発生します。

ラボ型は、法人設立と委託のいいとこどり

このように、法人設立も委託も、それぞれにデメリットがあります。
そんなデメリットを解消するために考えられたのが、ラボ型というオフショア開発です。

ラボ型のメリット1 面倒な事務処理が不要

現地法人を設立するには、申請してから認可がおりるまで約3か月〜6ヶ月はかかります。
しかしラボの場合は、申請処理は事務所選定等の作業は一切ありません。人材を確保できれば、即スタート可能です。

ラボ型のメリット2 採用面接でスタッフを選ぶことができる

他社の人材であるにも関わらず、採用面接を行いスタッフを選定することができます。人材募集や面接のセッティングはラボサービス会社が行うため、時間的なコストは最小限に抑えることができます。

ラボ型のメリット3 コストが明朗でわかりやすい

人数と期間を決めてラボ契約を結ぶため、コストがわかりやすく、追加費用なども発生しません。

ラボ型のメリット4 まるで自社チームのように運用できる

契約上は他社の社員ですが、運用上は自社スタッフとなんら変わりありません。委託のようにチームメンバーが入れ替わることもなく、プロジェクトのノウハウがチーム内に蓄積されていきます。

ラボ型のメリット5 現地法人化するときに、そのまま人材を移籍できる

将来的に現地法人設立を計画している場合、ラボでの人材をそのまま移籍できるため、スムーズな現地法人設立が可能です。

デメリット 業務量が少ないと、対費用効果が薄くなる

月費用と期間から算出するためコストが分かりやすいことがメリットですが、逆を返すと、契約期間中はたとえ業務がなくとも固定費用が発生するということです。あるていど継続して発注できなければ、成果よりも出費がかさんでしまいます。

  業務委託 現地法人 ラボ型
人材確保の手間

なし

人材紹介会社に依頼 求人サイト利用 など

面接のみ

運用コスト
運用開始までの時間

なし

約3ヶ月

面接など、人材確保にかかる期間のみ

チームの安定性

メンバーが入れ替わる可能性が高い

チームメンバー固定

チームメンバー固定

実際の運用例 駐在型とブリッジSE型

ラボの運用は、大きく分けて2つのパターンがあります。

自社社員を、現地に駐在させる場合

自社の社員を、プロジェクトリーダーとして海外に赴任させる方法です。
日本人同士でやりとりができるため、素早く正確な連携や、知識面での安定感が魅力です。
デメリットは、駐在員のビジネスビザや家賃などの費用がかさむことです。

チーム内にブリッジSEを置く場合

日本語&現地語が話せるエンジニアを、ブリッジSEと呼びます。チームメンバーの一人にブリッジSEを配置することで、翻訳をとおして日本からの指示を現地スタッフに伝えることができます。
デメリットは、ブリッジSEを教育してプロジェクトのノウハウを学んでもらう必要があるため、戦力となるまで少し時間がかかることです。

ラボ型開発にかかる費用の内訳

ラボ開発には、初期費用と月額費用がかかります。初期費用は人材と設備、月額費用は雇用維持と管理費が、主な目的となります。

初期費用

人材採用費

人材を募集するための費用です。人材紹介会社を利用する場合と、求人Webサイトを利用する場合で、金額が変わります。

設備費

パソコンなど、業務に使用する設備を購入する費用です。
それぞれの国の物価水準に左右されますが、WindowsPC一式で5万円程度といったところです。

月額費用

給与

スタッフに支払う給与です。その国の賃金水準や、スタッフのスキルや経験によって変わってきます。

社会保険費

社会保険、健康保険、労働組合に加入する費用です。

管理費

ラボを維持するための管理費として、人数に応じて発生する費用です。
ラボサービス会社により価格設定が違いますが、一人あたり数万円の管理費が発生します。

どこの国がいいの? 東南アジア各国の特徴

オフショア開発はさまざまな国で行われていますが、やはり東南アジアは根強い人気を誇っています。
東南アジア各国の特徴を、かんたんにご紹介します。

ベトナム

 

南北の距離は約1600km、東西は最短部分で50kmと、縦に細長い国です。
北は首都ハノイ、中部はリゾート地のダナン、南は商業都市のホーチミンと、それぞれに特徴のあるエリアが広がっています。

国民の平均年齢は非常に若く、29歳以下が約50%を占めるほどです。そんな若者にはIT系の学部を専攻している学生も多く、基礎からしっかりと教育を受けたITエンジニアが豊富です。政府もITに力を入れており税制優遇措置なども設けていることから、多くの外資系IT系企業がベトナムに拠点を構えています。

タイ

首都バンコクは言わずとしれた国際都市で、メインストリートには多国籍な旅行者や在住者が行き交っています。
タイ在住の日本人は約7万人、これは東南アジアでも抜きん出ており、それだけ多くの日本企業がタイに進出していることが伺えます。
そのため、日本食レストランや、日系の商業施設など、日本人が生活しやすい環境が揃っています。
またインフラ面でも他の東南アジア諸国に比べて整備が進んでおり、インフラリスクが低いことも魅力です。

人件費は周辺諸国と比べると、マレーシアやシンガポールより安く、ベトナムやフィリピンより高い、といったところです。

シンガポール

シンガポールは、物価が高いことで有名です。人件費も例外ではなく、新卒で1800USD前後、マネージャークラスともなると5000USDと、人件費は日本とほぼ変わらず、職種によっては日本を上回っています。

しかしITリテラシーは世界基準で見てもレベルが高く、教育コストが低いことは魅力でしょう。
また、欧米人や中国人が多く在住していることもあり、それらの国へ展開するビジネスであれば人材は豊富に揃っています。
開発内容によっては、人件費のデメリットをカバーできるかもしれません。

マレーシア

マレーシアは多民族国家であり、中国語や英語を使える人材が多く揃っています。欧米や中国との連携が多いビジネスであれば、人材確保は容易でしょう。
しかし、シンガポールほどではありませんが、マレーシアも東南アジアの中では人件費が高い国です。雇用コストの面では注意が必要です。

マレーシアには、MSCステータスというIT企業を対象にした優遇制度が設けられています。条件はかなり厳しいですが、最長で10年間の法人税免除など、大きな恩恵を受けることができます。

フィリピン

フィリピンは、大小7000以上の島から構成される島国です。
首都マニラをはじめ、近郊のビジネス都市マカティ、リゾート地としても有名なセブ島などを中心に、外資系企業が拠点を置いています。

フィリピンの特徴は、なんといっても英語です。国民の9割が英語を話せること、そして多くの日本人が英語教育を受けるために留学しています。
英語力が高い人材には不自由しないでしょう。

インドネシア

世界4位の人口を有する、赤道直下の島国です。
近年ではIT教育環境も整っており、エンジニアの数も増加傾向にあります。

人件費は、タイよりも安く、ベトナムと同じくらいの水準です。
英語の普及率は低く、コミュニケーションのためにブリッジSEやITコミュニケーターを置く必要があります。

ベトナムをおすすめする5つの理由

このように東南アジア諸国は開発拠点としてそれぞれ特徴がありますが、中でもおすすめはベトナムです。

人件費が安い

ベトナムは、ASEAN諸国の中でも人件費が安い国です。
経験1〜3年程度のデベロッパーで600~1,500USDと、日本と比較すると3分の1〜半額ほどの給与水準となっています。
同じ東南アジアで人件費を比較すると、タイやマレーシアは、ベトナムよりも2〜3割ほど高くなります。

下の表はベトナムの、2020年時点での言語別デベロッパーの給与水準です。

言語 月給 言語 月給
Python $1,134 PHP $836
Java $1,027 .Net $1,020
C++ $1,192 Scala $1,140
React Native $1,109 Go $1,120
CSS/HTML $678 JavaScript $782
React.js $1,175 Node.js $1,092
Ruby $1,172 Android $774
Swift $895 Obj-C $856

出典:https://topdev.vn

ITエンジニアが多い

ベトナムは、IT人材の育成に力をいれています。多くの大学がエンジニア育成の学部を設けており、また政府も積極的に支援しています。
毎年約9000人の学生がIT系の学部を卒業しており、IT人材も年々増加しています。毎年の増加率は50%、人数にして1〜2万人の勢いでIT人材が増えています。

各言語の比率としては、Javascriptが最も多く、次いでJava、PHP、Pythonと続きます。

Javascript 69.5%
Java 44.1%
PHP 43.0%
Python 39.9%
C#/.Net 33.1%
Objective-C 16.5%
C++ 9.2%
Ruby 4.8%
Go 3.7%
Scala 3.6%
Swift 3.5%
Kotlin 1.0%
Flutter 0.2%

出典:https://topdev.vn

真面目で親しみやすい国民性

ベトナム人は、とても真面目な性格をしています。ルールに忠実で、1日8時間しっかり働きます。
また、フレンドリーで困っている人を放っておけないような、親しみやすい国民性も特徴です。
親日家も多く、日本語を勉強する学生も増えています。

アクセスしやすく、時差が少ない

東京、大阪、福岡などから直行便が運行しています。
時差は日本のマイナス2時間、つまり日本が10時のときベトナムは8時です。時差がすくないことから、時間的なギャップを感じることなく連携をとることができます。

IT企業に対し、税制優遇がある

ベトナムの法人税は税率は25%ですが、一部のIT分野では外資系企業に対して4年間の免税期間、さらに9年間の減税期間を設けています。
つまり人件費に加え、税金の面でもコストメリットを得ることができます。

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弊社自身がラボ開発を経て法人を設立した経験者なので、不安な点はなんでも相談してください!

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